「自分」を作っているものを解く  Ⅴ 観るときの注意点

目 次

Ⅴ 観るときの注意点

観て解いていくうえで注意をするべきことがあります。
早く識りたいという気持ちや、自分に都合の良いように思いたい、あるいは自分を良く思いたいという気持ち、本当のことを識るのが怖いという気持ちなどが働いて、ありのままではなく、想像や歪曲をして自分で答えを作ってしまわないように気をつけなければいけません。

1. 判断や分析、解釈をしない

自分の知識や経験をもとに、これはこうだと決めつけて判断したり分析をしない。
自分で解釈したり解決しようとしない。想像で答えを作り出すことがないようにする。
判断や分析、解釈、想像をすることは、そこに思考が働いていることになります。

早く識りたいという思いが働いて、自分の知識や経験の範囲から「こうだろう」と決めつけて、それで解決したような気持ちになったり、本当のことを識ることが怖いと感じて、それに触れる前に自分で答えを作り出してそれ以上観ることをやめてしまう、ということがないように気をつけなければいけません。
また、「何か答えを出さなければ」と思って観ることは、本当のことを歪曲してしまいます。

2. 自分を責めることではない

・人を憎む気持ちや恨み、妬み、軽蔑、優越感など、道徳的に、あるいは常識や社会通念として悪いといわれている思いや、自分が「こんな思いを持ってはいけない」、「これは汚い心」と思っている思い
・自分で認めたくない思い
・罪悪感

このようなものが自分の思いにあることがわかったとき、自分に嫌悪感を感じたり、自分を責めたり落ち込んだり後悔したり反省することではありません。そうすることは「これはいいこと・これは悪いこと」と、自分の価値観で判断や解釈をしていることになります。

また、「こんな思いを持つのは良くないことだ」と認めなかったり払い除けようとしたりすることでもありません。そう思うことは、せっかくわかりかけたものを観ないように奥に押し込めてしまうことになります。

3. 否定や拒絶をすることではない

「執着をしない」ということや、「自分を捨てる」ということは、「否定や拒絶」をすることとは違います。
「そんなものは自分にはない」とか「なくなれ」と精神力で強く思ったり念じたりしてもなくなるものではありません。

また、
・自分がこんな汚い感情を持っているはずがない。
・「自分は弱い」「自分が悪い」「自分のせいでそうなった」などとは認めたくない。
・自分が怖いなどと思っているはずがない。自分には恐怖心などない。

と、自分はこういう人間だと思っていたこととは違うことがわかりかけたときに、それを認めてしまうことが怖いため、あるいは自分では気がついていなかった感情がわかって驚いたとき、それが自分にあることを否定や拒絶するためにとっさにフタをして観ないようにしてしまうことがあります。

フタをしてしまうとその先を観ていくことができなくなります。自分に都合が悪いことでも客観視していく必要があります。

4. 反対の思いを持つことではない

自分に「憎しみ」の感情があることがわかったとき、その「憎しみ」を解くために、反対の思いを持って「愛する」ようにしようとすることではありません。
自分は小さいときに両親を亡くして深い「悲しみ」をずっと持っているから、「明るく」振る舞うようにしよう、と別の思いにすり替えることではありません。

憎しみは「悪い」思いだから、反対の「良い」思いに塗り替えたら、もとの憎しみはなくなるだろう、明るく振る舞っていれば悲しみも消えて明るい性格になれるだろう、と反対の思いや別の思いを持っても、もとの「憎しみ」や「悲しみ」はなくなりません。

「憎しみ」や「悲しみ」があるのに、その上に反対の思いや別の思いを塗り重ねることは、矛盾や葛藤が起きて苦しみになります。「憎しみ」や「悲しみ」そのものがなくならないと、本当にはその苦しみから解放されません。

また、妬みや嫉妬を持っていることがわかったからといって、人に親切にしたり良い行ないをするなどして、妬みや嫉妬を帳消しにしようとしても、それらはなくなるものではありません。

5. 理屈や言い訳をしない

このときはこうだったから、あのときはああいう状況だったからと、自分のことを正当化したかったり良く思っていたいために、理屈や言い訳をつけることをしない。理屈や言い訳をつけると、それ以上その先を観ていこうとしなくなるので、本当のことがわかりません。

自我をたくさん持っている
人は、執着や思い込み、固定観念による「自分」をたくさん持っているものです。
自分は執われているものは何もない、悩みもないと思っていても、気がついていないだけで、たくさんの「自分」を持っています。

ひとつ解くことができても、それがすべてではありません。
ひとつ解いて満足せずに、そこからさらに先を観て解いていってください。
ひとつ解くことができると、意識が変化してきます。新しい意識が開かれます。

『「自分」を作っているものは何か』と探して解いていってください。






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